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黒薔薇学園の白い百合たち
第15章 由里との再会
「うっく…ぅえっ…
こんな私でも…うっく…ぐしゅ…
愛…して…ううっ…もらえ…るの?」
許されたい
愛されたい
忘れていいと言ってくれるのなら
もう一度…雅人さんに求められたい…
私は左手を雅人さんに向かって差し出した。
たけども、土下座をしている雅人さんは
私の行動に気づいてくれない。
「あ~!もう、焦れったい二人やなぁ!」
トレイに二つの湯呑み茶碗を用意して
由里の部屋の前に留美子が仁王立ちしていた。
「悪いと思ったけど、
あんたらの話を聞かせてもろたわ」
部屋の片隅に置いてある小さなテーブルに
トレイを投げ出すと
「何があったか知らんけど
土方さんと仰るその男は由里を求めているし
由里は由里で土方さんを愛しとるんやから
それでええやんか!」
今のあんたらに必要なんは
愛の契約書や!
そう言って留美子は鼻息を荒くした。
「愛の契約書?」
何の事やらわからずに
由里は小首を傾げた。
「婚姻届や!」
「だって…ここは大阪だし…
婚姻届を出すのなら帰京しないと…」
「あんたはそう言うことに疎いなあ」
婚姻届は居住区でなくても出せるんやで
そう言いながら留美子は土方と由里の間に腰をおろした。