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黒薔薇学園の白い百合たち
第17章 帰京
座席の電源を利用してスマホの充電をしていたのがフル充電になったのを機に
私は久しぶりにスマホの電源を入れた。
すると貯まっていたLINE着信の音声が
鳴り止むことなく響き渡り
私は慌てて音声をオフにした。
着信のほとんどが2年C組の生徒たちで
私のことを心配してLINEしてくれていたのでした。
「すごいLINE数だね、
僕が正規の担任なのに
ちょっとヤキモチを妬いちゃうな」
私は送信していただいたコメントの一つずつに
短文ではあるけれど
心配をかけてごめんなさいとお詫びの返事と
土方先生と夫婦になったことをお知らせした。
すると今度は祝福のLINEが次から次へと送られてきた。
『教師って…やっぱり素敵なお仕事…』
遠退いた教師になるという夢に
吹っ切れたはずの心に後悔の念がドッと押し寄せてきた。
だけど、決して涙は見せないし
悔やんだ表情も見せなかった。
泣いてしまうと土方先生を責めてしまうことになるのがわかっていたから。
「おっ!僕にもLINEが来たよ」
きっと自分にも生徒たちからの祝福のLINEだと思って楽しみにしながらLINEアプリを起動すると
『このスケベ!』とか
『教育実習生に手をつけるなボケ!』などと
生徒たちからの怒りの文面が次々と送られてきた。
どうやらマドンナを奪った僕の罪は大きいみたいだ
雅人はそう言って苦笑いをした。