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黒薔薇学園の白い百合たち
第17章 帰京
土方は学園の校門の前で足を止めた。
『うちの校門って…
こんなにもデカかったっけ…』
足を踏み入れにくい事を
昔の人は『敷居が高い』と表現したらしいが
なんとも上手い例えだなと雅人は思った。
教員室に顔を出すと
学年主任の岡本先生が待ち構えていた。
「他の先生方はすでに会議室でお待ちですよ」
ついに観念するときが来たか…
雅人は岡本先生の後に続いて会議室に足を踏み入れた。
着席していた他の先生方が
一斉に振り向いたので
土方雅人は、その視線が胸に突き刺さるのではないかと思うほどの戦慄を覚えた。
「お待ちしておりましたよ」
学園長も在任教師を裁かねばならないと緊張しているのか、その声は少しだけ震えていた。
「先生方…この度は私の身勝手で本当に申し訳有りませんでした」
謝りなさいと命令されるのは癪に触るので
土方は自ら非を詫びて頭を下げた。
「こんなことは前代未聞ですぞ
女の事で落ち込み、
その後は女の尻を追って東京を離れるなんて…」
他の先生の手前、この件はなし崩しに出来ないと
普段は温厚な学園長が腕を組んで威厳を持たせるかのようにふんぞり返りながら詰った。
せめて、体調を崩したとか
何らかの言い訳をして休んでくれれば
こちらも穏便に済ますことも出来たのに残念です
チンタラと講釈を述べずに
さっさと懲戒解雇です!と処分してくれと
土方は覚悟を決めた。