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黒薔薇学園の白い百合たち
第1章 教育実習
「騒ぐな!
彼女は僕と同じ物理を…」
「ひゅ~、ひゅ~!彼女だってさ!
土方ぁ~、実習生に一目惚れかぁ?」
あちゃあ~、しまったと土方先生は
うっかりしたとばかりにコホン!と大きな咳払いをした。
「ええっと…日向先生はボクと同じ物理を担当してもらう」
教壇をバン!っと叩いて
土方先生はそのように言い直した。
「由里ちゃんでいいじゃんか~!
まだ教員免許もないんだろ?」
一人が言い出すと
全員が「由里ちゃんと呼ぶことに決定!」と
蜂の巣をつついたように騒ぎ出した。
「あ、あの…別に何と呼んでいただいても構わないので本日から二週間よろしくお願いします」と
頭を下げると一斉に拍手が沸き起こった。
心の片隅には「先生」と呼んでほしかったけれど
とにかく私を受け入れてくれたんだと
ちょっとだけホッとしました。
「馴れ馴れしくするなよ!
教員の卵だけど、二週間お前たちを教えてくれるんだから敬意を持ちなさい!」
「とか、何とかいいながら
土方も心の中では『由里ちゃん』って呼んでるんじゃねえのか?」
どうやら図星だったようで
土方先生は顔を真っ赤にしちゃいました。
「いよっ!お似合いのカップル!!」
もう制御不能でした
キスしちゃいなよとか
いつしか私たち二人を囃し立てるセリフが
あっちこっちから飛び交いました。