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黒薔薇学園の白い百合たち
第5章 私の初体験
。。。。。。。
「そんな色気も恋心もない初体験だったわ」
「へ、へえ~…そうなんだ…」
平静を装っているが
土方は由里の処女を奪った男に嫉妬していた。
怒りで手がわなわなと震え、
思わず力を込めたものだから
持っていた割り箸がペキっと音を立てて折れた。
「で、その男とは付き合ったのか?」
「ううん、私が中学生になると同時に
お兄ちゃんも大学を卒業してどこかへ引っ越したわ」
それって…いわゆるヤり逃げじゃないか!
「由里!俺ならお前を幸せにしてやれる!
俺と結婚してくれ!!」
えっ?
それを…今言う?
緊張して言葉に発したものだから
意外と大きな声になり
雑談していた周りの人達から言葉が消えて
一斉に私たちは注目された。
恥ずかしい!!
もうヤダ!!
私は思わず席を立って
店から飛び出していた。
「兄ちゃん、フラれたなあ!」
店の客たちは一人残された土方に
憐れみの視線を送りながら茶化していた。
土方は急いで会計を済ますと
私を追いかけてきた。
「ゴメン!!
返事は今すぐでなくていいんだ!
結婚の事、前向きに考えてくれないか?」
雑踏の中、
私は土方先生に抱き締められていた。