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黒薔薇学園の白い百合たち
第6章 カップリング
心臓がドキドキしていた。
生まれて始めてプロポーズというものを経験した。
でも、よりによって
あんな大衆酒場でなんて…
まるで思いついたかのような告白…
リングさえも用意していないなんて
最低じゃん
そう思いながらも
雑踏の中で抱きしめられた体の温もりが
私を幸せな気分にしていました。
あの後、
土方先生は私をホテルに連れ込みたそうでしたが
後ろ髪を引かれる思いで断ち切った。
そう、私にはなんとしてでも
やり遂げないといけない仕事が
残っていたのですから。
私は帰宅すると
自分の部屋ではなく
隣の部屋をノックしました。
『帰っているかしら?』
けっこうこの時間だと
毎晩廊下をウロウロして
私の部屋をなんとか覗こうとしているのに。
今夜は逆に、私が廊下側の小窓を
背伸びしながら覗き込んでいた。
「そんなに僕が恋しいですか?」
不意に背後から声がしたので
私は飛び上がらんばかりに驚いていたしまった。
振り向くと沢渡くんが
そこには人懐っこい笑顔で
今にも後ろから羽交い締めせんとばかりに
じわりじわりと私に近づいてきていた。
「あ、えっ、えっと…
こんばんは…」
どうして私が狼狽えなきゃなんないの!
「僕に何か用ですか?」
ここで立ち話も何ですし
良かったら部屋に入りませんか?と
私を拉致するかのように
部屋の中に引きずり込んだ。