この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
黒薔薇学園の白い百合たち
第6章 カップリング
険悪な空気が流れて行く。
なんとか頭を下げて
沢渡くんに着席してもらったけど
彼は憮然とした表情で一言もしゃべらないんです
『カップリング不成立だわ…』
気に入ってもらえないとわかっていながら
香代は実にマメに世話をしてくれた。
サラダを取り分けたり
ドリンクバーのおかわりも
人の分まで補充してくれたり…
成美たちとつるんでいる時は
小憎らしいほどのいけすかない女なのに
こうして一人だと世話女房のようで
女の私でさえ惚れてしまいそうだった。
無言が小一時間も経っただろうか
「今日は貴重なお時間をいただき
本当にありがとうございました」と
急に香代が席を立って
ペコリと頭を下げた。
「いや…君は何も悪くない…」
それまで不貞腐れた顔をしていた沢渡くんが
始めて香代に声を掛けた。
「えっ?」
話しかけてもらった香代が
ポロポロと涙をこぼした。
「えっ?いや、泣かないでくれ
君が不満で不貞腐れているんじゃないんだ
僕はただ、騙し討ちのような形で君に引き合わせた由里に腹を立てているだけなんだから」
急に沢渡くんが
堰(せき)を切ったように喋り始めた。
「最初から女子高生と会って欲しいと
そう言ってくれていれば、
こっちだって心の準備が出来たんだ」
それをコイツが…
そう言って沢渡くんは私を睨んだ。