この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
黒薔薇学園の白い百合たち
第6章 カップリング
日向先生とお店の前で別れて
香代は送ってくれるという沢渡と肩を並べて歩いていた。
後ろから自転車がベルを鳴らして
追い抜きますよと合図をしてきた。
「危ないよ、もっとこっちを歩いた方がいい」
そう言って沢渡は、さりげなく香代の肩を抱いた。
ときめいていた香代は
肩を抱かれたのを幸いに
沢渡に体を預けた。
そのタイミングでポツポツと雨粒が落ちてきた。
おまけにピカッと稲光がしたと思ったら
ゴロゴロという雷の音とともに
ザーっといきなりのどしゃ降りに変わった。
生憎と雨宿りをするような店もなく
目に飛び込んできたのが
陳腐なラブホテルだった。
『いきなりホテルに誘うなんてアリか?』
一瞬だけ戸惑ったが、
そんなことを思っているうちに
どんどんと体が雨に濡れて行く。
「ちょっと雨宿りをしないか?
あ、決してイヤらしい事はしないから」
「わかってるわ
早く入りましょう、びしょびしょになっちゃう」
了解を得たのなら迷うことはない
沢渡は香代の肩を強く抱いて
ラブホテルの入り口を潜った。
この際、どんな部屋でもいい。
タッチパネルを無造作に押すと
部屋への案内灯が二人を誘うように
チカチカと点滅した。