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黒薔薇学園の白い百合たち
第1章 教育実習
さて、昼食時間も終わり
私はド緊張しながらC組へ向かいました。
きっと、騒ぎまくっているだろうから
どのように注意すべきかと
授業とは別にクラスをまとめる事ばかり考えていた。
廊下を進んでゆくと
挨拶の時はあれほど賑やかだったクラスが
水を打ったようにシンと静まり返っていた。
『あら、案外とみんな真摯に授業に取り組んでくれるんじゃないかしら…』
私は不安が杞憂に終わりそうな予感がしていました。
「じゃあ、日向先生。
僕は後ろの扉から教室に入りますんで」
クラスの前で土方先生と前後の扉に別れただけで
とても心細くなってしまいました。
『ダメダメ!憧れていた教師になるための第一歩なんだから!』
私は唇をキュッと噛み締めて
クラスの引き戸に手をかけた。
その時です
「日向先生!入らないで!!」と
土方先生の声がしましたけど
何の事やらわからず、私は迷いもなく引き戸を開けてクラスに足を踏み入れました。
最初に目に飛び込んできたのは
一人の生徒が何やらロープを引っ張るのと
教室の後ろから慌てて走ってくる土方先生の姿でした。
「由里ちゃ~ん!大歓迎するよぉ!」
その言葉と共に
私の頭の上から水がぶちまけられたのです。
『えっ?何?』
咄嗟に頭上に目をやると
天井からバケツがぶらさがっていて
一人の生徒がロープを引っ張ることでバケツが引っくり返っていたのでした。
バケツの中の水が私の体をずぶ濡れにさせました。
唖然としてしまいましたが
ワンテンポ遅れて、私は「キャー」っとビックリして叫び、びしょ濡れになった水の冷たさに
泣き出していました。