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ラズベリーの甘い誘惑
第1章 王子様はお姫様を夢見る。
肯定された女の子は、嬉しさに顔を輝かせますが、それを直ぐに引っ込ませ、おずおずと遠慮がちに口を開きました。

「あ、あの…、わ、私なんかで、良いん、ですか…? もっと、美人な人はたくさん……」

そう言ったきり、女の子は小さくなって下を向き、口を閉ざしてしまいました。隠し切れない不安が声の端々から感じられます。女の子にとって王子様は、夢のまた夢のまた夢の夢の人、もう存在すらしてない空想の人物にまでなっているので、そんな人のお嫁さんになるのが自分なのだと、自分が選ばれたのだと、どうしても自信が持てませんでした。

王子様は静かにソファーから立ち上がりました。そしてそのまま女の子が座っているベッドへと近寄ります。ベッドの端に膝を乗せれば、ぎしりとスプリングがきしみました。女の子の身体はこれまた分かり易く大きく跳ね上がりましたが、遠ざかる様子はみられなかったので、王子様はベッドへと上がり、女の子の近くに座りました。

王子様は少し迷いましたが、思い切って震える手にそっと触れました。女の子の身体は震え上がります。構わず王子様は、手を優しく握り締めます。暖かく柔らかい、滑らかな肌の手触り。小さな手は王子様の手の中で暫く震えていましたが、落ち着きを取り戻したのか、やがて止まりました。

「君がいいんだよ、エル。君は他のどんな女性よりも魅力的だ。もっと自信を持って……」

歯の浮くような甘い台詞も、王子様にとっては朝飯前です。女性を口説く心得は人一倍あります。しかしそれ以上に、本当にそうだと心から思っているので、いつもより声に感情がこもっていました。

女の子は握られていた手を、自ら控え目に、でも確かにきゅっと握り返しました。そして初めて、自分から顔を上げました。

「とっても、嬉しいです……。私、王子様のお嫁さんになりたい、です」

その声はやはりまだ緊張から震えていましたが、はっきりと自分の意思を持った声でした。うれし涙を目尻の淵に浮かべ、にっこりと花のように王子様に微笑みかけたのでした。



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