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欲しいんでしょ
第4章 机上の気丈~愛実side~
実験棟へと向かう足取りが、だんだんと遅くなる。
手にはデジカメ。
(幽霊なんて…こんな昼間から出るわけないでしょ。)
私は友達から実験棟の心霊写真を撮ってくるよう言われた。
いつもだったら断るところだけど、じゃんけん弱いからしょうがない。
『愛実なら大丈夫、きっと幽霊の方が逃げてくよ!』
ほっとけ。
友達の言葉を思い出し、心の中でつっこむ。
「幽霊なんて…ないさ。幽霊なんて嘘さ。ボケてる人が見間違えたんだ。」
ぶつぶつと無意識に言った。
私は腹をくくり、実験棟の扉を開ける。
(あれ、意外と明るいじゃん。)
カビ臭くて埃っぽいけど、何かが出そうな雰囲気はない。
ふぅ、と一息つき写真を何枚か撮った。
ふと階段に目をとめる。
(そう言えば…二階もあったんだっけ)
嫌気が差したがちゃんと撮らないとドやされそうなので、私は二階へとあがった。
すると誰もいないはずの部屋から女の人の声が聞こえてきた。
私は驚いたけど、その声はどうも喘ぎ声に聞こえる。
ざわり…
私はこれを聞いてはいけない声だと直感的に分かった。
でも…
私だってセックスに興味がない訳ではない。
(別に、誰も見てないし…ちょっとくらい聞いてたっていいよね…?)
私は扉に耳を当てた。