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欲しいんでしょ
第10章 おひるのおひさま

「ぷっ」


「は?」


あたしは吹き出した後、大きな声で笑った。


ぽかーんと見ている卓と愛実ちゃんも
何だか可笑しくて、あたしの笑いは止まらなかった。


「何でこいつは笑ってるんだ…」


呆れたように卓が言う。


「相変わらず早苗先輩はよく分かんないです」


苦笑しながら愛実ちゃんも言う。




あたしは笑いすぎて涙が出てきた。

決して卓があたしを見て笑ってくれたからではない。


「げっ。今度は泣いてる!」


「先輩、ほら。」


差し出されたティッシュを受け取り、鼻をかむ。


「あとこれも…」



そう言ってハンカチで傷口を押さえた。


「そういえば…痛い」



「あほ。消毒するから家来い。…歩けるか?」


「うん」


頷いて立ち上がると、膝にできた傷が脈打って痛い。


他にも今日はたくさん転んでお尻とか
腕も痛む。


「…………。」


卓があたしをじっと見つめてきた。

(うわ、何か知らないけどドキドキする。)



「早苗やっぱ痛そうだな。ほれ。」


卓はあたしに背を向けてしゃがみこんだ。




つまりおんぶ。




「うわわわっ!いやいいよ、あたし重いから!」

焦って言うと睨まれた。


「早くしねえと傷口に塩水ぶっかけるよ?」



(鬼め…)


仕方ないので乗ってみた。
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