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欲しいんでしょ
第10章 おひるのおひさま

ちらっと卓達の方を見ると愛実ちゃんが何か喋っていた。


卓の表情はここから見えない。


(愛実ちゃんってよく分かんないな。)



卓の事好きなのに、どうしてひどい事できるの。


「…たしじゃ…駄目ですか…」


ふいに聞こえてきた愛実ちゃんの声に
あたしは焦った。


卓が愛実ちゃんを選んだらどうしよう。



あたしには卓が必要なのに。



今すぐ卓の元へ行きたい。

そういう衝動に駆られた。



2、3秒後、あたしは卓の腕に抱きついていた。



「え?」


卓と愛実ちゃんの声がシンクロする。


あたしはぎゅっと腕に力を込めた。


久々の卓の匂い。

筋肉のついた腕。



「早苗、急にどうした?」

「びっくりしました…」



「はっへはくあまはほほかいっはいほうへえ…!」


「顔離して喋れあほっ!」



「だって卓がまたどっか行っちゃいそうで!」


卓は驚いた顔をした。
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