この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
全部、夏のせい
第8章 暗雲〜東京、横浜、そして…

アラムは本当に優しくて、甲斐甲斐しく私を気遣ってくれて、
祖母ともとても仲が良かった。
大学は、後期試験やレポートを残す程度だったので、
祖母の家で勉強に専念出来た。
観光ビザだから仕事をする訳にはいかないアラムは、
近くの日本語学校に通う傍ら、
祖母にお茶を習ったり、
私の通学に付き添ってくれたりした。
「えっ?
マーサ、車の運転、出来るの?
方向音痴なのに?」と笑われたけど、
「ナビがあるもの!
でも、知らない道は通れないの。
実家と大学は大丈夫よ?」と言うと、
おかしそうに笑った。
そして、
「日本車は初めてだな?」と言いながら、
運転もしてくれたりした。
「イギリスと同じ左側通行だし、
安全運転するから」と、
本当に慎重な運転をしていた。
実家に戻る時は、一人で戻った。
祖母の心臓を理由にしていたから、
あまり長い滞在はせずに済んだし、
独りにされるのを嫌う父は、
祖母のことがあまり得意ではなかったので、
両親が祖母の家まで来ることもないまま、2ヶ月ほど経って、
なんとか、6ヶ月目を迎えることが出来た。
大学の試験とレポートの提出も終わったので、
アラムの運転で、
祖母と三人で実家に向かうことになった。
ゆったりした服、
ふっくらした身体つきは、
既に妊婦そのものだったと思うけど、
よく、ここまで内緒に出来たものだと思った。
車を停めると、
アラムが運転席から降りて、
まずは祖母をエスコートするように車から降ろすと、
私の方のドアも開けて、
手を引いて車からそっと降ろしてくれる。
私の手は震えてしまっていたけど、
アラムの大きな手を握ると、
奮い立つような気持ちで微笑んで脚を踏み出した。
祖母ともとても仲が良かった。
大学は、後期試験やレポートを残す程度だったので、
祖母の家で勉強に専念出来た。
観光ビザだから仕事をする訳にはいかないアラムは、
近くの日本語学校に通う傍ら、
祖母にお茶を習ったり、
私の通学に付き添ってくれたりした。
「えっ?
マーサ、車の運転、出来るの?
方向音痴なのに?」と笑われたけど、
「ナビがあるもの!
でも、知らない道は通れないの。
実家と大学は大丈夫よ?」と言うと、
おかしそうに笑った。
そして、
「日本車は初めてだな?」と言いながら、
運転もしてくれたりした。
「イギリスと同じ左側通行だし、
安全運転するから」と、
本当に慎重な運転をしていた。
実家に戻る時は、一人で戻った。
祖母の心臓を理由にしていたから、
あまり長い滞在はせずに済んだし、
独りにされるのを嫌う父は、
祖母のことがあまり得意ではなかったので、
両親が祖母の家まで来ることもないまま、2ヶ月ほど経って、
なんとか、6ヶ月目を迎えることが出来た。
大学の試験とレポートの提出も終わったので、
アラムの運転で、
祖母と三人で実家に向かうことになった。
ゆったりした服、
ふっくらした身体つきは、
既に妊婦そのものだったと思うけど、
よく、ここまで内緒に出来たものだと思った。
車を停めると、
アラムが運転席から降りて、
まずは祖母をエスコートするように車から降ろすと、
私の方のドアも開けて、
手を引いて車からそっと降ろしてくれる。
私の手は震えてしまっていたけど、
アラムの大きな手を握ると、
奮い立つような気持ちで微笑んで脚を踏み出した。

