この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
全部、夏のせい
第9章 愛別離苦
「最初は…。
真麻が彼を連れてきた時は…。
いや、フランス留学から帰国した時は、
結婚だなんて、まして、外国人と結婚だなんて、
許せなかったし、
居なくなれば良いと思ったよ。
言語も育ちも国も宗教も、肌の色も違う男とだなんてと。
だから、目にするのも嫌で、
お前を勘当した。
孫のことは気になっていたけど、
今更、会いたいとも言えなくて、
ママに様子を観に行って貰って、
写真や動画は観ていたよ?
それでね。
アラムが、あの国に行く直前に、
実は家を尋ねて来たんだよ」

「えっ?」

「アラムはだいぶ、日本語が上手くなっていて、
驚いたよ。
多分、凄く努力してくれてたんだろう」と父は僅かに微笑んだ。


そして、私のことを真っ直ぐ観て、父はこう言った。

「真麻、アラムを探しに行くのは辞めなさい」

「えっ?」

「アラムもそれを望まないよ」

「…」

「まして、小さいアダムを連れて行くなんて、
正気の沙汰ではない。
何かあったらどうするんだ?」

「でも…」

「お義母さんも、止めてください。
まして、一緒に行くだなんて…」


父は唇を震わせて涙ぐんでいる。


「アラムはね。
私にこう言ったんだよ。
真麻が早産しそうになった時、
私のせいだと恨んだ。
でも、あんなことをお義父さんに言わせるようなことをした自分にも責任はあると…」

「えっ?」

「だから、自分を憎んでも構わないから、
真麻とアダムのことは、
許して欲しいと言って、
土下座したんだよ」

「…そんな…」


「それとね。
これから行く国は、客観的に見て、
日本より危険だから、
もしも、自分が帰って来れないようなことがあったら、
真麻とアダムを頼むと…。
何か判らないけど、
真麻には生活に困らない程度のものは残しているとは言っていたけど、
真麻とアダムの二人には、お金やものよりも近くに居て守ってくれる人が必要だって、
泣いて頭を下げたよ。
いつか、アダムが成長したら、
真麻を守れるようになるけど、
それまでは、お義父さん、お願いしますと言って…」


私は涙が止まらなかった。
アラムがそんなことを言ってたなんて、
考えもしなかった。
/323ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ