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全部、夏のせい
第9章 愛別離苦
私が泣いているのを見て、
アダムがまた、私の膝に登って、

「ママン、何処か痛いの?」と辿々しい日本語で言う。

多分、周りで日本語を使っているのを感じて、
慣れているフランス語から日本語へと、子供なりに切り替えていると思うと、余計に泣きそうになるのを止めようとして、
笑ってみせる。


そして、フランス語で、
「あのおじさん、ママンを虐めたの?」と言うので、

「違うわ?
あのおじさんは、
ママンのパパよ?
だから、グランパなのよ?」と説明すると、
少しポカンとした顔で父を観て、

「グランパと、グランマと、グランマだね?」と、
座っている大人たちを見回して笑った。


「そうよ?
アダムには、たくさん、グランパとグランマが居るのよ?」と言うと、嬉しそうな顔をした。


そして、私は父に言った。


「判りました。
では、お祖母様とアダムは残して行きますが、
私はアラムの消息を確認して来ます」

「えっ?
私の話を聴いてなかったのか?」

「大丈夫です。
アダムを独りぼっちにすることは、
絶対にしません。
あちらの事務局の方と一緒に必ず行動して、
勝手に外を一人で歩いたりしません。
1週間だけ、行かせてください。
それで、何も新しい情報がなければ、
必ず直ぐに帰国しますから!
そうしないと、私、
気持ちの整理がつかなくて、
前に進めません」


父は黙り込んでしまう。


すると、祖母が沈黙を破るように言った。

「1週間だけよ?
それ以上は、絶対にダメ。
そして、必ず、帰ってくると約束して?
それなら待ってますから!」


父も渋々ではあったけど、
頷いてくれた。


そして、
「出国の日と帰国の日には、
全員で見送りと出迎えするから、
予定は絶対に変えないように!」と言って、
その日は母と帰って行った。



帰り際にアダムが、

「またね?」と言うと、
父は涙を浮かべながら、

「うん。
またね?」と言って頭を撫でていた。


母には、
「グランマも、またね?」と言って頬にキスをすると、

「グランマ、良い匂い。
ママンと同じ」と恥ずかしそうに言うので、

「アダムは甘えん坊さんね?」と、
母も嬉しそうに頬にキスをしていた。



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