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全部、夏のせい
第9章 愛別離苦
ドバイでトランジット後、入国したその国の空港は、
びっくりするほど小さくて、
空港を利用する人も少なかった。


トランジットがあると荷物は無くなる。

そんな気がしたので、
私はアラムと初めてマルセイユで会った時のように、
リュックサックと斜め掛けのバッグ一つで入国した。


時計は丈夫で安いGショック。
滅多に履かないパンツスタイルは、
カーゴパンツにして、
Tシャツの上にパーカーを羽織った。

リュックサックには下着2セットとTシャツ、靴下と雨ガッパも入れた。

強盗に遭う可能性を考えて、
結婚指輪も外したけど、
ブレスレットは外せないので、
そのまま、Gショックで隠すように嵌めたままにした。

髪は束ねて服の中に仕舞い込んで、
サファリ帽を被ってみたけど、
背が小さいから女性に見えるのは仕方ないと思った。


空港で、高等弁務官事務所の男性職員とガイド兼ドライバーの、白い歯が目立つ男性が待っていてくれて、
途中からは碌に舗装もされていない道で、車酔いしそうになりながら2時間半掛けて、
キャンプのような所に到着した。

まだ、陽があるうちに移動出来て良かったと言われて、
「どうして?」と訊くと、
夜は非常に冷え込むのと、
色々、危険だからと言われた。


職員は、アフリカ系フランス人で、ルイという名前だった。

アラムと一緒に仕事をしていたと、
言葉少なに言うので、
行方不明になった時のことを話して貰えないかと尋ねると、
黙り込んでしまった。


「何でも良いんです。
生きてるか、死んでるかも判らないなんて…」と言うと、

「彼は武装勢力風の男たちに連れ去られてしまった」と苦しそうな顔で言われた。


「武装勢力って?
どんな人たち?
何処に連れて行かれるの?
どうなるの?」と訊くと、

「イスラム系の過激な組織で…。
女子供を拐って行くことが多い。
アラムは、止めようとして、
一緒に連れて行かれた。
何処にというのは判らない。
戻って来た人は、殆ど居ない。
お気の毒に…」と言った。


「殆どってことは、
僅かに戻る人も居るの?」と訊くと、

「本当に、僅かだけど、
ほぼ居ないよ。
残念だけど…」と言って、
それ以上、訊かないでくれという感じで、
席を立ってしまった。
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