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全部、夏のせい
第10章 再びのエクス、そして隣国へ

発見された現場には、既に何人もの男性が、スコップなどを手にして立っていた。
アラムのお父様が近くに行くと、
みんなが深く身体を折るように頭を下げて出迎える。
アリが先に行って戻ってくると、
「マーサは見ない方が良いかも」と言う。
私は唇を噛み締めてから、
「大丈夫です」と言って足を踏み出した。
少し掘られた穴に、
白骨死体が横たわっていた。
一部が足りないのが判った。
「動物が漁って行ったのかもしれないな」と、
アリが呟くように言う。
白い大きな布が敷かれて、
その上に丁寧に両手で骨を拾って並べるのを見つめていると、
身体が震えて泣いてしまっていた。
アラムのお父様が私を抱き締めてくれるので、
私はしがみつくようにして泣いてしまう。
「終わりました」とアリが声を掛ける。
私は震えながらその白い布に近づいて、
脚の骨を丁寧に見て、言った。
「アラムは、左脚を銃で撃たれていたと聴きましたが、
左脚にはそのような痕はありません。
だから…アラムじゃないです」
「でも…掠めただけで、
骨には当たってなかったかもしれないよ?
現場は混乱していて、
誰も近くで確認してないだろう?
右脚だったかも…」とアリが言う。
「右脚の骨も、綺麗です。
だから、アラムでは…」と言いながら、
立っていられず、その場に座り込んでしまう。
アラムのお父様が、
「国に連れ帰って、
歯型とDNA鑑定をするから。
結果は必ず報告するよ」と言いながら、
私を立たせてくれると、
「さあ。
アダムの処に戻ろうか?」と優しく言った。
車の中でも、
アラムのお父様はずっと私の肩を抱いて、
手を握り締めていてくれた。
アラムのような、
少し甘くてスパイシーな香りがして、
アラムに包まれているような気になってしまう。
現実は全く違うけど、
車の中だけ、
アラムに抱き締められているような錯覚に、
少しだけ癒されるような心地で、
浅い眠りに落ちて、
アラムの夢を観た。
目が覚めると、キャンプ地に戻っていた。
「大丈夫かな?」とアラムのお父様が、
私の目尻に溜まった涙を指先でそっと拭ってくれる。
「アラムの夢を観ました」と言うと、
「うん。
知っているよ」と少し哀しそうに微笑んだ。
アラムのお父様が近くに行くと、
みんなが深く身体を折るように頭を下げて出迎える。
アリが先に行って戻ってくると、
「マーサは見ない方が良いかも」と言う。
私は唇を噛み締めてから、
「大丈夫です」と言って足を踏み出した。
少し掘られた穴に、
白骨死体が横たわっていた。
一部が足りないのが判った。
「動物が漁って行ったのかもしれないな」と、
アリが呟くように言う。
白い大きな布が敷かれて、
その上に丁寧に両手で骨を拾って並べるのを見つめていると、
身体が震えて泣いてしまっていた。
アラムのお父様が私を抱き締めてくれるので、
私はしがみつくようにして泣いてしまう。
「終わりました」とアリが声を掛ける。
私は震えながらその白い布に近づいて、
脚の骨を丁寧に見て、言った。
「アラムは、左脚を銃で撃たれていたと聴きましたが、
左脚にはそのような痕はありません。
だから…アラムじゃないです」
「でも…掠めただけで、
骨には当たってなかったかもしれないよ?
現場は混乱していて、
誰も近くで確認してないだろう?
右脚だったかも…」とアリが言う。
「右脚の骨も、綺麗です。
だから、アラムでは…」と言いながら、
立っていられず、その場に座り込んでしまう。
アラムのお父様が、
「国に連れ帰って、
歯型とDNA鑑定をするから。
結果は必ず報告するよ」と言いながら、
私を立たせてくれると、
「さあ。
アダムの処に戻ろうか?」と優しく言った。
車の中でも、
アラムのお父様はずっと私の肩を抱いて、
手を握り締めていてくれた。
アラムのような、
少し甘くてスパイシーな香りがして、
アラムに包まれているような気になってしまう。
現実は全く違うけど、
車の中だけ、
アラムに抱き締められているような錯覚に、
少しだけ癒されるような心地で、
浅い眠りに落ちて、
アラムの夢を観た。
目が覚めると、キャンプ地に戻っていた。
「大丈夫かな?」とアラムのお父様が、
私の目尻に溜まった涙を指先でそっと拭ってくれる。
「アラムの夢を観ました」と言うと、
「うん。
知っているよ」と少し哀しそうに微笑んだ。

