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全部、夏のせい
第11章 パリの長い夜
バスローブを渡して、
脱いだスラックスや靴下を拾ってハンガーに掛ける。
靴下はかなり濡れていたので、
洗面台に持って行って絞ってから掛けていると、

「ああ。
具合の悪いマーサの手を煩わせてしまったな」と済まなそうに言った。


「そろそろ、湯が溜まったかな?」と浴室を覗き込むと、

「あれ?」と言う。


私も見てみると、少ししかお湯は溜まっていないので、
覗き込むと、
栓がされてなかった。


声を上げて笑いながら、

「お義父様、これではいつまで経っても、
お湯はいっぱいになりませんよ?」と言うと、

「ああ。
マーサが笑ってくれた」と、
嬉しそうな顔をした。


そんなに酷い顔をしていたのかと思うと、
申し訳なくなってしまう。

実の息子を亡くしたお義父様だってお辛いのにと、
私はどんな顔をすれば良いか、判らなくなってしまった。


「お義父様、濡れてしまったから、
お先に入ってください。
私はその後に入らせていただきます」と言うと、

「いや、マーサが…」と言う。


「あの…。
でも、お湯を汚してしまうかもしれませんので、
後の方が気持ちが楽なんです」と説明すると、

「ああ、そうなのか?」と言って、

「では、お先に入らせて貰うよ?」と笑う。


「お湯はそのままで大丈夫ですから!
ごゆっくりどうぞ」と言って、
リビングの方に出た。


水栓を忘れてるなんて!

と思い出して、
クスクス笑うと、
少しだけ気持ちが明るくなった気がした。


そして、お義父様、お着替え、持ってるのかしら?
手ぶらだったようだけど?
と思って、アリに連絡してみようかと思ったけれど、
電話に出てくれなかった。


後で、また、掛けてみようと思っていると、
お義父様がバスローブ姿で出て来た。


やっぱりアラムに似ている。

そう思うと、
心が震えそうになる。

そんな気持ちを閉じ込めるように、

「では、私も入らせていただきますね?」と言うと、
お義父様は、カゴに入ったバスソルトやら、小さいシャンプーなんかを私に持たせて、

「ホテル備え付けのより、
こちらを使いなさい」と言って笑った。


「ありがとうございます」と言って、
私はバスルームに入った。
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