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全部、夏のせい
第2章 好き?

「何か、ご所望ですか?」と、本を椅子に置いてゆっくり立ち上がるので、
「ごめんなさい。
お散歩していただけなんです」と答えた。
「中国人ですか?」と訊かれて、
「いいえ。
日本人です」と答えると、
「そうですか。
ミシマの国ですか」と微笑んで、
椅子に置いた本を見せてくれると、
それはフランス語版の『金閣寺』だった。
「良かったら座って行きませんか?」と言われて、
座らせてもらう。
リュックサックを下ろそうとすると手伝ってくれて、
「おや。
随分と重いですね?」と言われて、
「ミネラルウォーターを買いました」と答えると、
「水よりワインの方が安いのに!」と笑われてしまった。
「夕食は?」と訊かれて、
「まだです」と言うと、
お爺さんは奥に声を掛けて、
「ワインはいかがかな?
ああ、まだ未成年かな?
ここらでは、10代から酒も煙草も嗜むけどな。
ほら。
隣の学校の悪ガキも、
貰い煙草してはプカプカしとるよ」とグラスを出してくれる。
「もうすぐ21歳ですよ?
私、あまり強くないので…」と言うと、
少しだけ、美しい色の赤ワインを注いでくれる。
奥から綺麗な女性が、
トレイにチーズやハム、バゲット、ドライフルーツを載せて持って来てくれる。
「ロザリー、ありがとう。
お嬢さん、お名前は?」と訊かれて、
「真麻(まあさ)です」と言うと、
「こっちは孫娘のロザリー。
もうすぐ結婚して郊外の葡萄園に行くんだ。
私はジャンだよ」と紹介される。
「まあ!
おめでとうございます」と言うと、
「お祖父さんたら、美人を見るとすぐに声を掛けるから。
話も長いから、
適当に帰った方が良いですよ?」と、
クスクス笑いながら奥に下がってしまった。
「ごめんなさい。
お散歩していただけなんです」と答えた。
「中国人ですか?」と訊かれて、
「いいえ。
日本人です」と答えると、
「そうですか。
ミシマの国ですか」と微笑んで、
椅子に置いた本を見せてくれると、
それはフランス語版の『金閣寺』だった。
「良かったら座って行きませんか?」と言われて、
座らせてもらう。
リュックサックを下ろそうとすると手伝ってくれて、
「おや。
随分と重いですね?」と言われて、
「ミネラルウォーターを買いました」と答えると、
「水よりワインの方が安いのに!」と笑われてしまった。
「夕食は?」と訊かれて、
「まだです」と言うと、
お爺さんは奥に声を掛けて、
「ワインはいかがかな?
ああ、まだ未成年かな?
ここらでは、10代から酒も煙草も嗜むけどな。
ほら。
隣の学校の悪ガキも、
貰い煙草してはプカプカしとるよ」とグラスを出してくれる。
「もうすぐ21歳ですよ?
私、あまり強くないので…」と言うと、
少しだけ、美しい色の赤ワインを注いでくれる。
奥から綺麗な女性が、
トレイにチーズやハム、バゲット、ドライフルーツを載せて持って来てくれる。
「ロザリー、ありがとう。
お嬢さん、お名前は?」と訊かれて、
「真麻(まあさ)です」と言うと、
「こっちは孫娘のロザリー。
もうすぐ結婚して郊外の葡萄園に行くんだ。
私はジャンだよ」と紹介される。
「まあ!
おめでとうございます」と言うと、
「お祖父さんたら、美人を見るとすぐに声を掛けるから。
話も長いから、
適当に帰った方が良いですよ?」と、
クスクス笑いながら奥に下がってしまった。

