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全部、夏のせい
第11章 パリの長い夜

お義父様と飛行機に乗るのは、2回目で、
あの時は狭いエコノミークラスだったけど、
今回はビジネスクラスにゆったりと乗せていただいた。
ジュネーブは初めてだという私を、
優雅にエスコートしてくれるのかと思ったら、
いつもお付きの人があれこれしての移動らしく、
私がタクシー乗り場を探して、
腕を組んでお連れする感じだった。
「マーサは小さいのにしっかりしてるね?」と言われて、
「身長とは関係ないですよ?」と言うと、
声を上げて二人で笑ってしまう。
「行き先は?」と尋ねると、
ジュネーブに本店がある大きな銀行の名前を言われて、
運転手さんに住所を告げた。
立派な店舗に少し驚きながら、
お義父様と腕を組んで店内に入り、
お義父様が入り口の人に、
「約束をしている」と名前を告げると、
程なく奥から蝶ネクタイ姿の大柄な男性が出てきて、
「お久し振りですね?
こちらは?」と握手をしながらお義父様に声を掛けた。
「アラムの第一夫人のマーサだ。
マーサ?
あの封筒をお見せしなさい」と言われて、
良く判らないまま、バッグから封筒を出して渡す。
男性は、それを優雅に開いて、
「こちらへ」と言って、
物凄くがっしりしたエレベーターへと私達を連れて入り、
タッチパネルを操作しては指紋認証をした。
音もなくエレベーターは動いて静かにドアが開く。
「こちらへ…」と言われて、
更に大きな扉の前に連れて行かれる。
「ああ、そうだ。
マーサ、アラムの箱に入っていた封筒も、
彼にお見せして?」と言われて、
バッグからあの寄木細工の小箱を出して、開く。
「わたくし共の銀行より高いセキュリティですね?」と男性が笑う。
何度か動かして開けると、
「これは、私も開けられないな?」と、お義父様も笑った。
封筒を出して、男性に渡すと、
静かにそれを読んで、
裏に添えてある婚姻やアダムの出生の書類に目を通して、
再び丁寧に畳んで封筒に入れると、
それを私に返してくれた。
あの時は狭いエコノミークラスだったけど、
今回はビジネスクラスにゆったりと乗せていただいた。
ジュネーブは初めてだという私を、
優雅にエスコートしてくれるのかと思ったら、
いつもお付きの人があれこれしての移動らしく、
私がタクシー乗り場を探して、
腕を組んでお連れする感じだった。
「マーサは小さいのにしっかりしてるね?」と言われて、
「身長とは関係ないですよ?」と言うと、
声を上げて二人で笑ってしまう。
「行き先は?」と尋ねると、
ジュネーブに本店がある大きな銀行の名前を言われて、
運転手さんに住所を告げた。
立派な店舗に少し驚きながら、
お義父様と腕を組んで店内に入り、
お義父様が入り口の人に、
「約束をしている」と名前を告げると、
程なく奥から蝶ネクタイ姿の大柄な男性が出てきて、
「お久し振りですね?
こちらは?」と握手をしながらお義父様に声を掛けた。
「アラムの第一夫人のマーサだ。
マーサ?
あの封筒をお見せしなさい」と言われて、
良く判らないまま、バッグから封筒を出して渡す。
男性は、それを優雅に開いて、
「こちらへ」と言って、
物凄くがっしりしたエレベーターへと私達を連れて入り、
タッチパネルを操作しては指紋認証をした。
音もなくエレベーターは動いて静かにドアが開く。
「こちらへ…」と言われて、
更に大きな扉の前に連れて行かれる。
「ああ、そうだ。
マーサ、アラムの箱に入っていた封筒も、
彼にお見せして?」と言われて、
バッグからあの寄木細工の小箱を出して、開く。
「わたくし共の銀行より高いセキュリティですね?」と男性が笑う。
何度か動かして開けると、
「これは、私も開けられないな?」と、お義父様も笑った。
封筒を出して、男性に渡すと、
静かにそれを読んで、
裏に添えてある婚姻やアダムの出生の書類に目を通して、
再び丁寧に畳んで封筒に入れると、
それを私に返してくれた。

