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全部、夏のせい
第11章 パリの長い夜

「この先は、ご本人様しか入れませんので、
こちらでお待ちします」と言って、男性は一歩下がると、
お父様がその先の扉にある小さいパネルで数字を打ち込んでドアを開けて、二人で中に入った。
小さな部屋には扉付きの棚がいくつかある。
お義父様は、そのうちの一つを指差して、
「ほら。
その紋章の棚は、
第一夫人のマーサのものだよ。
さっきの数字を打ち込んであけてごらん?」と言われて、
開けてみて、固まってしまった。
「なに?
これ?」と、日本語で呟くと、
「えっ?
マーサ、なんて言ったの?」とお義父様が訊く。
「これは?」と改めて訊くと、
「それは、私の国の第一王子の第一夫人の財産だよ?
国にあったものは、持ち出せなかったがね?
アラムのも見るかな?」と言うので、
私は首を横に振った。
「そして、こちらが私の財産。
私が亡くなったら、一人息子のアラム、
その妻のマーサ、そして二人の愛息のアダムに継承される。
アラムの書面にあったように、
先にアラムが亡くなったら、
アラムの財産は、マーサとアダムに相続される。
ざっくりした目録もあるが…」と言われて、
クラクラしてしまう。
「あの。
私、こんなの、頂けません」と言うと、
お義父様は笑い出して、
「頂くとか、頂かないとか、
そういう問題ではなくて、
継承するものなんだよ。
必要があれば、何をどれだけ持ち出そうが構わない。
ここに来る時は、メモの番号に電話をすると、
さっきの担当者に繋がり、
アポを取ってここに来ることも出来るし、
送金も勿論出来るし」と説明してくれるけど、
頭がついていかない。
「ひとまず、私、
仕事もしていてお金に困ってないですし、
もしもアダムがお金のかかる学校に進みたいと言った時に、
お義父様に相談させていただきますね?」と言うと、
「車でも家でも、
なんなら、プライベートジェットでも買えるんだよ?」と笑う。
「私のジェット機は、国に置いてきてしまったから、
どうなってるんだろうな?」と呟くお義父様を観て、
とにかく、スケールの大きさにひたすら、驚いてしまった。
こちらでお待ちします」と言って、男性は一歩下がると、
お父様がその先の扉にある小さいパネルで数字を打ち込んでドアを開けて、二人で中に入った。
小さな部屋には扉付きの棚がいくつかある。
お義父様は、そのうちの一つを指差して、
「ほら。
その紋章の棚は、
第一夫人のマーサのものだよ。
さっきの数字を打ち込んであけてごらん?」と言われて、
開けてみて、固まってしまった。
「なに?
これ?」と、日本語で呟くと、
「えっ?
マーサ、なんて言ったの?」とお義父様が訊く。
「これは?」と改めて訊くと、
「それは、私の国の第一王子の第一夫人の財産だよ?
国にあったものは、持ち出せなかったがね?
アラムのも見るかな?」と言うので、
私は首を横に振った。
「そして、こちらが私の財産。
私が亡くなったら、一人息子のアラム、
その妻のマーサ、そして二人の愛息のアダムに継承される。
アラムの書面にあったように、
先にアラムが亡くなったら、
アラムの財産は、マーサとアダムに相続される。
ざっくりした目録もあるが…」と言われて、
クラクラしてしまう。
「あの。
私、こんなの、頂けません」と言うと、
お義父様は笑い出して、
「頂くとか、頂かないとか、
そういう問題ではなくて、
継承するものなんだよ。
必要があれば、何をどれだけ持ち出そうが構わない。
ここに来る時は、メモの番号に電話をすると、
さっきの担当者に繋がり、
アポを取ってここに来ることも出来るし、
送金も勿論出来るし」と説明してくれるけど、
頭がついていかない。
「ひとまず、私、
仕事もしていてお金に困ってないですし、
もしもアダムがお金のかかる学校に進みたいと言った時に、
お義父様に相談させていただきますね?」と言うと、
「車でも家でも、
なんなら、プライベートジェットでも買えるんだよ?」と笑う。
「私のジェット機は、国に置いてきてしまったから、
どうなってるんだろうな?」と呟くお義父様を観て、
とにかく、スケールの大きさにひたすら、驚いてしまった。

