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全部、夏のせい
第12章 アリの想い
マーサは勿論のこと、
アラムへの連絡先も知らないまま、時間が過ぎたある日、
突然、アラムの父王から部屋に来るように言われた。


長期滞在している五つ星ホテルの反対端の部屋に行き、
そっとノックをして、入ると、
父王はとても複雑な顔をしていた。


そして、こう言った。


「息子が…アラムが拉致されたようだ」

「えっ?」

「隣国まで来て、難民支援をしてくれていたらしいが、
過激派か、単なるゴロツキが、女子供を誘拐しに来て、
それを阻止しようとして、一緒に連れさらわれたと…」

「何かの間違いでは?
アラムは日本に居る筈で…」

「日本から電話が来たんだ。
アラムと私のホットラインに…。
マーサだった。
まだ、会ったことのないアラムの第一夫人になった…」

「えっ?」


久し振りに聴く、その名前に心臓が音を立てた気がして、
手が震えそうになる。


「この電話の最後の履歴が、
彼女の電話だ。
何かあったら、情報を伝え合うことにして、
私の側近にこの電話を伝える了承を貰った。
アリ…。
その役割を頼めるか?」と言って、
電話を手渡した。


俺は震える手で履歴を確認して、
番号を俺の携帯に入力した。



「アラムはもう…」と父王が言うのをぼんやり聴く。


「しかし、勇敢な子だ。
単身でアラムの手掛かりを探しに、
あの隣国に行ったそうだ」と静かに笑う。


そうだった。
マーサは小さいのに、
いつも背中を真っ直ぐにして、
誰に対しても同じ態度で接していた。

困難に出会っても、屈しないような強さが、
目の奥に宿っていた。


きっとマーサは、
アラムを諦めないだろう。


そう確信しながらも、
また、マーサに繋がれた幸運を神様に密かに感謝していた。
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