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全部、夏のせい
第12章 アリの想い

それから、暫くの間、
マーサに会えなかった。
自分が偽善者みたいな気がして、
それに、アラムのことを訊かれては、
曖昧なことしか言えないことも辛かったから、
自分から距離を置いてしまっていた。
ところが、事情が大きく変わった。
二度目のクーデターに見舞われた。
アラムの父王は退位して、
民主的な選挙で新しいリーダーが選ばれたのに、
軍部がそのリーダーを拘束した上、
父王をお飾りとして祭り上げて、
自分達が国を牛耳る動きをみせた。
父王は、
「利用されるくらいなら、自害する」と言う。
「ここで死ぬくらいなら、出国して、
外から機を狙って民主的なリーダーを支援しましょう」と説得して、
なんとか、国から脱出した。
父王を守る為に、何人かに銃や刃を向けた俺は、
お尋ね者になった。
腹の傷はなんとか止血出来たけど、
途中で意識を無くしそうになりながら、
あの、隣国のキャンプに到着出来たのは出国から三日目の明け方だった。
車から降りて程なくすると、
小さい小屋から小柄な人が外に出て来る。
目を凝らして見てみると、
マーサだった。
俺は息を呑んで、
思わず自国の言葉で、
神様と運命への感謝を口にしながら、
ヨロヨロとマーサに近付いて、
手を握って、抱き締めようとした。
…なんで、ペンを持ってるんだろうと思いながら。
そして、次の瞬間、
何が起こったのか判らない速さで、
俺は地面に転がされていた。
父王が笑いながら近寄って来て、
マーサが驚いた声を出した。
俺は情け無い声を出しながら、
ヨロヨロと立ち上がったけど、
どうやら腹の傷が少し開いてしまったようだった。
マーサに会えなかった。
自分が偽善者みたいな気がして、
それに、アラムのことを訊かれては、
曖昧なことしか言えないことも辛かったから、
自分から距離を置いてしまっていた。
ところが、事情が大きく変わった。
二度目のクーデターに見舞われた。
アラムの父王は退位して、
民主的な選挙で新しいリーダーが選ばれたのに、
軍部がそのリーダーを拘束した上、
父王をお飾りとして祭り上げて、
自分達が国を牛耳る動きをみせた。
父王は、
「利用されるくらいなら、自害する」と言う。
「ここで死ぬくらいなら、出国して、
外から機を狙って民主的なリーダーを支援しましょう」と説得して、
なんとか、国から脱出した。
父王を守る為に、何人かに銃や刃を向けた俺は、
お尋ね者になった。
腹の傷はなんとか止血出来たけど、
途中で意識を無くしそうになりながら、
あの、隣国のキャンプに到着出来たのは出国から三日目の明け方だった。
車から降りて程なくすると、
小さい小屋から小柄な人が外に出て来る。
目を凝らして見てみると、
マーサだった。
俺は息を呑んで、
思わず自国の言葉で、
神様と運命への感謝を口にしながら、
ヨロヨロとマーサに近付いて、
手を握って、抱き締めようとした。
…なんで、ペンを持ってるんだろうと思いながら。
そして、次の瞬間、
何が起こったのか判らない速さで、
俺は地面に転がされていた。
父王が笑いながら近寄って来て、
マーサが驚いた声を出した。
俺は情け無い声を出しながら、
ヨロヨロと立ち上がったけど、
どうやら腹の傷が少し開いてしまったようだった。

