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全部、夏のせい
第15章 別離

アラムと過ごした箱根の温泉旅館にお連れすると、
静かな雰囲気をとても喜んでくれた。
庭先の古い桜の花弁が静かに散るのを観ているだけで、
涙が溢れてしまう私の手をギュッと握って、
いつまでも抱き締めてくれるお義父様も、
私と同じ様に哀しいのにと思うと、
また、涙が止まらなくなる。
そして、
「また、来年も桜を一緒に観たいものだ」と笑ってくれるのに、
ただ、頷くことしか出来ないでいた。
アリはそんな様子を黙って見つめていた。
私よりアラムと長く過ごしていたアリも、
とても悲しんでいることが判っていた。
もしかしたら、兄弟か、
それ以上の愛情を持っていたのかもしれないとすら思ったりしていた。
静かな雰囲気をとても喜んでくれた。
庭先の古い桜の花弁が静かに散るのを観ているだけで、
涙が溢れてしまう私の手をギュッと握って、
いつまでも抱き締めてくれるお義父様も、
私と同じ様に哀しいのにと思うと、
また、涙が止まらなくなる。
そして、
「また、来年も桜を一緒に観たいものだ」と笑ってくれるのに、
ただ、頷くことしか出来ないでいた。
アリはそんな様子を黙って見つめていた。
私よりアラムと長く過ごしていたアリも、
とても悲しんでいることが判っていた。
もしかしたら、兄弟か、
それ以上の愛情を持っていたのかもしれないとすら思ったりしていた。

