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全部、夏のせい
第15章 別離
「私、新しい事業の為に日本に行くから、
お義父様のこと、宜しくお願いします」


「そんなの、当たり前だよ。
離れていたらさ。
お兄ちゃんみたいっていうのが薄まって、
オトコとして観てくれるようになるかな?
あ、ダメか。
アラムを思い出すんだもんな」


「先のことは、判らないわ?
それに私、もうオバサンよ?
アリ、結婚するなら、
もっと若い女の子が良いんじゃない?
ほら、アリの国の女性の適齢期は、
21歳までで、
それより上は、もう、遅いんでしょう?」

「マーサは、いつまでも可愛いから、
歳なんて、どうでも良いよ。
子供はさ、
アダムもアリもリルもいるし」と髪を撫でて、

「これで更にもう一人、男の子出来て、
アリにしたら、
一家に四人のアリになるし。
あれ?
俺、何言ってるんだ?」と笑う。



「マーサ、とにかく、
俺、マーサのこと、ずっと好きだよ。
それは、良いよな?
こんなこと言って、
ギクシャク…しないよな?
マーサが、無理なら、良いよ。
ずっと好きだったし、
これからも大好きだけど、
マーサがそうでなくても、別に良いよ。
これまでもそうだったからさ」

「違うよ?
私もアリのこと、大好きよ?」

「ほら!
期待させんなよ。
お兄ちゃんとしての『好き』なんだろ?
俺、それでも良いからさ。
おやすみ。
暫く会えないけど、
なんかあったら飛んで行くから」

アリは優しく笑って部屋から出て行った。

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