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全部、夏のせい
第2章 好き?
正直に言うと、
ちゃんとキスしたことはなかった。

幼稚園の頃、
クラスの男子にキスされて泣いたことはあった。

それと、女子校の頃、
部活の先輩に、
「可愛い」って言われていきなりキスされたことはあって、
その時は、禁断っていうか、
それ、ダメ!!って思って、怖くて、
走って帰ってそのまま、部活を辞めたりした。


大学は、学部の関係で、
ほぼ男子ばかりだったけど、
特に誰かと付き合うこともなかった。

モテない訳ではなかったけど、
面倒で、「付き合ってるヒトが居るので」と言ってお断りし続けていたら、特に何もないまま、大学3年になってしまった。


アラムの唇は、肉厚な感じで、
少し硬くて、熱かった。

唇が動くと、
そのまま、食べられてしまいそうになって、
震えてしまった。


アラムはそっと唇を離して、

「ごめん。
マーサが凄く愛おしく感じた。
でも、ダメなんだよね?」と言うと、
そっと額にキスを落とした。



「私…男の人と付き合ったことも、
キスしたこともなくて…。
びっくりしたら、震えちゃって…」と言うと、
アラムは優しく背中と髪を撫でてくれた。


そして、
「後でフルーツ、届けさせるからね?」と言って、
手をギュッと握ってから、
手の甲にキスをして部屋を出て行った。


はぁ。
びっくりした。
でも、情熱的な唇なのかもしれないと、
触れただけの唇の感触を思い出して、
頬が紅くなってしまった。
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