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全部、夏のせい
第17章 甘い一夜の夢
豆腐懐石を出してくれるお店に電話をして、
夕食の予約をして、

「ご実家に電話してみたら?
もうこの時間なら、大丈夫かしら?
それとも、朝はもう少しゆっくりしてる?」と訊くと、

「うん。
朝はゆっくりだから、
夕食の後で良いかも」と言った。


「夕食は、古民家をリノベーションしたお店で、
豆腐懐石をいただきましょうね?
私、せっかくだから着物にしようかしら?」と言うと、
レオンは物凄く喜んでくれるので、
アトリエに置いてある中で、
一番シンプルな絽の付け下げに、紗の帯を締めた。


露草に蛍が描かれた地味な着物を、
「とてもシックだ」と喜んでくれる。


青竹で作られた器で冷酒を少しだけいただきながら、
のんびり懐石を楽しんで、
中庭で写真を撮って貰ってからのんびり帰宅した。



携帯を渡して、
「ゆっくり電話をすると良いわ?
私は着替えて着物のお手入れしてるから…」と言って、
寝室に入った。
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