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第18章 エクスへ

仕事もひと段落して、
ブランドへの生地の納品も無事に終わった。

手が離れたら、
それがどのようにデザインに使われるのかは全く判らないことで、
コレクションを観るのが楽しみだという気持ちだけだった。


工房で製作したバッグや小物も、
順調に仕上がっていっていた。

どこで、どのように販売するかを突き詰めていく必要があった。

東京とジュネーブとパリでテスト販売してみて、
リサーチしてみるつもりだったけど、
この後、お腹が大きくなる状況で、
それをやり切れるかは、正直、自信がなかった。


それと、何処で出産して育てるかという問題もあった。


スイスは、お義父様やアリのことを考えると、
気が重かった。

日本も、両親や祖母がなんて言うか不安しかなかった。

アダム達、子供にも、
なんて言って良いかも良く判らない。


でも、独りで育てていくことだけは、
決まっていた。


本当はのんびりしたエクスでという想いはあったけど、
ジャンやレオンが居る街では、
とても無理に決まっている。


パリはちょっと慌ただしそうだから、
リヨンあたりにしようかとぼんやり考えながら、
ひとまず、一度、スイスに戻ろうと思った。


少なくとも、お義父様には、
子供を授かって出産することを伝えよう。


そして、アラムから相続した財産は、
お義父様にお戻ししようと考えていた。


悪阻も治って、
食欲が戻ってきたから、
気持ち的にも身体的にも安定してきたのを感じていた。