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全部、夏のせい
第5章 ロザリーの結婚式
「僕は、マーサを愛していて、
結婚したいと考えています」


神父様は頷きながら静かに微笑んでいる。


「でも、僕は、結婚しています」


神父様の顔が、少し険しくなる。


「僕の国では、四人まで、妻を娶ることを許されていて、
17歳の時に、親同士が決めた女性と結婚しました。
でも、なんていうか…。
彼女と居ても楽しくなくて、
話をすることも殆どなくて、
一緒に住んでいる訳でもなかった」


初めて聴く話で、
私はアラムの横顔を見つめる。


「ここに来て、マーサと出会ったばかりです。
彼女は困難なことがあっても、
楽しそうに一人でそれを乗り切ろうとします。
荷物を無くしても、
困った顔はしていたけど、
何とかしようとしていた。
車で送ろうとしても、大丈夫と笑っていて、
駅から一人でとんでもない方向に歩いている後ろ姿を見て、
思わず心配でついていったけど、
途中の建物や景色を見ながら、
普通なら15分位の道のりなのに、
1時間近く歩いてても、
何だか、楽しそうだった」


…えっ?
そうだったの?


「遠足で、虫が動いているようなチーズを出された時も、
感謝する素振りを見せて、食べてた。
びっくりして、訊いてみたら、
せっかく大切なものを、わざわざ出してくれたからって。
文化や習慣の違いとかを気遣って、
僕の食事のことなんかも、
さり気なく気を配ってくれてた」


いつもは口数が少ないアラムが、
私のことをたくさん話しているのが、
とても不思議だった。


「それに、何も欲しがらないし、
あれこれ、ずかずかと訊いたりしない。
一緒に居て、心が穏やかになって、
幸せを感じる」


神父様が静かに言った。

「それで、どうしたいのですか?」



「改宗出来ますか?
僕はこれまでの信仰も家族も国も捨て去ります。
そして、マーサと結婚したいです」ときっぱりとした口調で言った。
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