この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
全部、夏のせい
第5章 ロザリーの結婚式

翌朝、アラムは、
「頭が痛い…」と顰めっ面で階段を降りて来たから、
授業の前にカフェでコーヒーを飲んでから教室に行った。
「それ、二日酔いって言うのよ」と言うと、
不思議そうな顔をしていた。
教室に行くと、
アラムの友達が1人減っていた。
あの、私を睨んでいた人。
どうしたのかなと思ったら、
「ちょっと国に帰ったんだ」とアラムが言った。
複雑そうな顔をしていたから、
それ以上、何も訊かなかった。
その翌日、大学の事務局から顔を出して欲しいという伝言を先生から貰って、
昼休みにアラムと二人、のんびり少し離れた大学まで歩いた。
母に頼んでいた荷物が無事に届いていて、
結構な大きさの箱だったので、
アラムが運んでくれた。
「何が入ってるの?」と訊かれて、
「土曜日のロザリーの結婚式に間に合って良かった!」と言うと、
不思議そうな顔をした。
「えっとね。
KIMONOなの。
スーツケース、無くなっちゃったから、
違うものを送って貰ったの」
「KIMONOって?」
「日本の民族衣装よ?」と言うと、
「初めて見るから、
楽しみだな」と笑った。
夜、アラムに観られないように、
2回ほど、着付けの練習をしたけど、
日本でも毎週一回はお茶のお稽古で着ていたから、
そんなに大変ではなかった。
袖を少し長めに仕立てた小振袖は、
涼しそうな夏草をメインに、
番いの鴛鴦も描かれている。
帯はすぐに結べるように、
ふくら雀の形に縫い留めた作り帯仕立てにして貰っていたので、
一人でも簡単に短時間で身に付けられる。
お抹茶を点てるお道具もスーツケースごと無くしてしまったから、
茶箱のお点前で使うお道具一式も、
荷物に入れてくれていた。
アラムは苦くてお抹茶は飲めないかしら?
お砂糖とミルク、入れそうよね?
と思って、クスクス笑ってしまった。
「頭が痛い…」と顰めっ面で階段を降りて来たから、
授業の前にカフェでコーヒーを飲んでから教室に行った。
「それ、二日酔いって言うのよ」と言うと、
不思議そうな顔をしていた。
教室に行くと、
アラムの友達が1人減っていた。
あの、私を睨んでいた人。
どうしたのかなと思ったら、
「ちょっと国に帰ったんだ」とアラムが言った。
複雑そうな顔をしていたから、
それ以上、何も訊かなかった。
その翌日、大学の事務局から顔を出して欲しいという伝言を先生から貰って、
昼休みにアラムと二人、のんびり少し離れた大学まで歩いた。
母に頼んでいた荷物が無事に届いていて、
結構な大きさの箱だったので、
アラムが運んでくれた。
「何が入ってるの?」と訊かれて、
「土曜日のロザリーの結婚式に間に合って良かった!」と言うと、
不思議そうな顔をした。
「えっとね。
KIMONOなの。
スーツケース、無くなっちゃったから、
違うものを送って貰ったの」
「KIMONOって?」
「日本の民族衣装よ?」と言うと、
「初めて見るから、
楽しみだな」と笑った。
夜、アラムに観られないように、
2回ほど、着付けの練習をしたけど、
日本でも毎週一回はお茶のお稽古で着ていたから、
そんなに大変ではなかった。
袖を少し長めに仕立てた小振袖は、
涼しそうな夏草をメインに、
番いの鴛鴦も描かれている。
帯はすぐに結べるように、
ふくら雀の形に縫い留めた作り帯仕立てにして貰っていたので、
一人でも簡単に短時間で身に付けられる。
お抹茶を点てるお道具もスーツケースごと無くしてしまったから、
茶箱のお点前で使うお道具一式も、
荷物に入れてくれていた。
アラムは苦くてお抹茶は飲めないかしら?
お砂糖とミルク、入れそうよね?
と思って、クスクス笑ってしまった。

