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第5章 ロザリーの結婚式

翌朝、外のキオスクの処にある公衆電話から自宅に電話を掛けた。

日本は夕方の筈で、父はまだ仕事で不在だった。


母に無事に荷物が届いたことを伝えて、
こちらで知り合った女の子の結婚式がこれからあるから、
着物で参列することと、
偶然、こちらの教会の神父様が、
子供の頃、一緒に通っていた教会にいらした片山神父様だと言うと、

「まあ。
懐かしいこと！」と母は嬉しそうに言った。


そして、
「好きな人が出来ました」と言うと、

「あら。フランスの方なの？」と言われて、

「違うの。
アフリカの方で…」と言うと、
少し声を顰めて、

「黒人の方？
それは…パパが許さないと思うわよ？」と言った。


「えっ？」

「だって、子供が産まれたら、
目で見て判るから、
差別されるって、心配するに違いないもの！」

「でも…」

「それに、短期留学なんだから、
あと1ヶ月もしないうちに、真麻さん、帰国でしょう？
お付き合い、続けるのは難しいんじゃない？」


私が黙ってしまうと、

「まあ、真麻さんはしっかりしてるから心配はしてないけど、
くれぐれも軽率な行動は控えてね？」と言われて、
電話は終わった。


軽率な行動ね…。


その言葉が胸の奥に静かに沈んでいくような感じがした。