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体育倉庫の狂宴~堕落する英語教師~
第7章 7
それまでの“ペア”を保って、猥褻な行為に没頭する他の面々を余所に、レンヤは前に立っている奈津子を、“邪魔”とばかりに脇へ退かせた。

こうして、奈津子との“ペア”を解消した後、レンヤはゆっくりとした足取りで、涼子に歩み寄った。

涼子の背中に寄り添って、レンヤが右の耳元で、囁いた。

「涼子先生、“二人きり”になれる場所に、行こうか……?」

(えっ――??)

涼子と新しい“ペア”を組もうとする、レンヤからの思い掛けない提案である――涼子は戸惑った。

そして不覚にも、レンヤという“美男子”からの、まるで舞踏会を抜け出す際のような誘い文句に、一度だけ鼓動を高鳴らせてしまった。

一方でレンヤは――涼子が戸惑い、返答を仕損じている間に――その両手を、涼子の両脇を通して前に伸ばした。

引き戸を開けた然る後、涼子の背中を押して、体育倉庫を出ようとした――のだが、そこで一方的に”ペア”を解消された奈津子が、叫んだ。

「レンヤ先輩ッ!――何処に行くんですかッ?」

「秘密……」

レンヤは微かな笑みを湛えた声で、そう答えた。

すると奈津子は――ついさっきまでは“楽しい夢を見ているような”顔をしていたのに――“パートナー”を失う危機に晒された今は、泣き出しそうな声でレンヤに聞いた。

「私は……私はどうすれば、いいの……?」

しかしレンヤは、その質問には何も答えなかった。

何も答えぬままに、涼子の背中を押した。

結局、レンヤは泣き出しそうな奈津子をそこに残して、涼子を連れて体育倉庫を後にした。
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