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第9章 ９

尤も今回は、“毅然”とした態度など、持てる筈もない。

涼子は“熱い顔”はそのままに声を震わせて、強烈な“赤っ恥”にオドオドしながら今一度、先ほど述べた信条を、語った。

「セックスは……神聖な、行為、なの……愛し合う、男女が、お、お互いを思い遣って、行うものなの、よ……」

と、そこでレンヤが口を挟んで、涼子に尋ねた。

「じゃあ涼子先生の乳首が”ビンビン”なのは、オレのことを愛しているから？」

「違うわッ！！」

涼子は空かさず、そう叫んでいた。

☆☆☆☆☆

愛している、訳がない。

涼子はレンヤと、レンヤが率いる男子たちに、“犯された”のだ。

嬲（なぶ）られ、弄ばれ、自尊心を深く傷付けられたのだ。

縦（よ）しんばそうでなかったとしても、涼子は二十六歳の“教師”で、レンヤは十八歳の高校三年生“生徒”である。

きっとそこには様々な考え方があるのだろうが――少なくとも涼子にとっては、“教師”と“生徒”の恋愛は、倫理に悖（もと）る。

愛している、訳がない。

☆☆☆☆☆

しかしながらそうなると、“乳首の勃起”に対する説明が……限られてくる。

レンヤが――なおも乳輪をゆっくりと撫でながら――涼子に聞いた。

「じゃあどうして、先生の乳首は、“ビンビン”なんですか？」

返すべき言葉は、すぐに思い当った――が、涼子はとてもそれを口に出来ない。

挙げ句、押し黙っているうちにレンヤの方から――涼子が思い当って、しかし口に出来なかった――『返すべき言葉』を口にした。

レンヤが――唇を涼子の右耳にそっと押し当て、とても十八歳とは思えない官能的な声で、囁いた。

「涼子先生の……“ス、ケ、ベ”……」

許容の限界を上回った羞恥が、涼子の全身をブルリと震わせた。