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第10章 １０

涼子はそれからまた、レンヤに向けた顔に、“オネダリ”の表情を作って浮かべた。

その際、二度目だから幾分でも慣れるかも、などと期待したものの、やはり恥ずかしかった。

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唇をうっすらと開いてそこから舌を覗かせ、それを見せ付けながら、レンヤの唇に視線を向けた。

でも、もうその目は細めなかった――そもそも細める“必要”が、なかった。

“泣き出したい気分”のせいか、自ずと細くなっていたからだ。

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然る後、涼子はまたレンヤに“オネダリ”の顔を、じりじりと近付けていった。

やがてまた、“小指の長さ位”まで、互いの唇が接近したところで――予想はしていたのだが――レンヤが乳首を右、左の順で、コロッ、コロッと転がした。

「あっ――あん……」

相応の快感に、涼子は小さな声を漏らした――でも今度は左の乳首を転がされた時も、それを押し留めることはしなかった。

挙げ句の、その二度の喘ぎ声を漏らした時にはどちらも――今度は自分でも、小鼻が痙攣したのが分かった。

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そして今度は、もう顔を俯かせなかった。

たった今“感じてしまった”顔を、たった今小鼻を“ヒクッ、ヒクッ”と二度痙攣させた顔を――“オネダリ”の口元を保ったままに――レンヤに見せた。

涼子は信じている――レンヤからのキスのために、もう顔を俯かせないこの意志も、“勇気”と呼んでいい。

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しかしながら――この期に及んでも、レンヤは嘲笑とともに、涼子の“勇気”を弄んだ。