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第12章 １２

舌が“飛び跳ねて”その度に――涼子の全身の至る部分――太股や脇腹、バストや背中――その輪郭に、パチパチと“火花”が弾けた。

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その“火花”は――その部分を細やかにくすぐって、涼子に例の『恥ずかしい声』を上げさせ後に――輪郭に沿ってさらさらと零れ落ちて、そこを優しく撫でた。

しかしここで涼子にとって少々始末が悪かったのは、この“火花”が性感それ自体には、決して刺激を加えないことだった。

それ故――内股で弾けた“火花”は秘部を、バストで弾けた“火花”は乳首を――涼子自身がはしたないと思うほどに、また涼子自身が刺激を与えられないその部分に同情してしまうほどに、激しく疼かせた。

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だから涼子はその“火花”に魅了されつつも、恨めしく思った――その恨みは、レンヤへ向けての次の“恨み”に、繋がった。

――今、レンヤは彼の持っている“キスの才能”の、その本領を発揮している――

――取りも直さずそれは、今までのキスが“遊び半分”だったことを意味している――

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同時に涼子は、もしかしたらレンヤは、このキスを――涼子が望むかどうかに拘らず――涼子に堪能させるために、涼子と“二人きり”になったのかも知れない、と思った。

“二人きり”――涼子はそれを当初、レンヤを改心させるべく“説得”する上で好都合だと考えていた。

しかし考えてみれば“二人きり”は、ひとりの女がキスを堪能する上でも、好都合だ。

実のところ今に至って、涼子にとっての“二人きり”の価値も、完全に後者の理由に、その重点を移していた。

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そして涼子は今更ながらに――ひとつの客観的視点で――自分の置かれている状況を、再確認してみる。