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体育倉庫の狂宴~堕落する英語教師~
第13章 13
なおもレンヤの口に舌を留まらせたまま――涼子は思った。

               ☆☆☆☆☆

この”泣きたい気持ち”が、せめて自分の”欲情”を冷ましてくれないものか……。

もし冷ましてくれたらすぐにでも、この“はしたなく”伸ばし切った舌を引っ込めるのに……。

――そう期待してはみたものの――涼子の期待に沿うどころか、この”泣きたい気持ち”は逆効果に働いた。

”泣きたい気持ち”も”欲情”も、どちらも一向に治まらない――(“泣きたい気持ち”に気付いてしまったばかりに、その挙げ句)この併存が、涼子をさらに辱めた。

(もしかしたら……私、本当に……)

涼子は心中で、呟いた。

(“スケベ”かも、知れない……)

               ☆☆☆☆☆

真面目――それは同僚の教師たちやこの高校の生徒が、至極“一般的”に抱いている、涼子への印象だ。

清楚――それは涼子に“女”としての魅力を認めた多くの男性諸氏から、幾度となく呈された賛辞だ――そして……

スケベ――それは今日(も)レンヤが涼子に投げ掛けて、涼子が必死で否定した、侮蔑の言葉だ。

               ☆☆☆☆☆

そして今、涼子は――奇妙なものだと思考の片隅で思いながらも――『スケベ』という侮蔑的な言葉を吐きかけたレンヤに――“身”も――そして“心”も――寄り添わせている。

同時に涼子は――『真面目』や『清楚』という、涼子に対して好意的な印象を持ってくれている人々全てを、裏切っているような心持ちにあった。

しかしながら問題は――いや、涼子自身はもう“問題”にすらしていない――が――その“裏切り”に対する背徳感にすら――涼子は――”欲情”――していた……。
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