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第14章 １４

興奮――そこには、様々な種類のものがある。

例えば、スリリングな展開の映画も鑑賞している時には興奮するし、手に汗握るようなデッドヒートを繰り広げる、水泳の試合を観戦している時も、涼子は興奮する。

そんな時、涼子は『興奮している』自分を、“素直”に認めることが出来る。
　
手に汗握っている自分を、“素直”に認めることが出来る。

でも今の涼子は興奮している自分を認めるのに――相当の“後ろめたさ”を伴わざるを得ない。

だからそれは――“性的興奮”ということに、なるのだろう。
　　　　　　　　　　　　　　
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今もなお、涼子はレンヤと夢中で、クルクルと回る各々の舌を、相手のそれと絡め合っている。

“性的”興奮は、涼子の身体を重くした――だから涼子はなかなか、次の行為に移れない。

しかしながらレンヤがやがて――“ディープキス”といっても、その楽しみ方は多数存在することを涼子の教える形で――ディープキスを、さらに濃密なものへと一歩進めた。

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十分な時間、舌を絡ませ合った後、レンヤは涼子の上唇を、彼の唇で挟んだ。

然る後、レンヤはその唇で涼子の上唇を――ぬちゅっぬちょっ――とその卑猥な音とは似つかわしくないほどに“優しく”揉んで――むちゅっ――と、柔らかく吸い付いた。

そんな、“たったそれだけ”の愛撫でも、その肌に電流がピリピリを走るような快感に、涼子は包まれた。

（あっ――これも、いい……感じちゃう――っ）

レンヤの唇で上唇を刺激されることに対する、そんな好意的な意見を、涼子は、

「うぅん、うふっ――ふぅぅぅん……」

と、小さな喘ぎ声を漏らすことで表明した後――涼子は自ずと咥える形になっているレンヤの下唇に――レンヤを模範にして――愛撫を施した。

ピチャピチャと舐めて、ちゅぷちゅぷと吸い付けば、男子更衣室に響く音は、一層けたたましく、猥褻になる。

そうやって、しばらくの間、涼子は、レンヤの舌と唇が立てて“くれる”音と、自分自身が立てる音――尤も涼子の方はしばしば、“喘ぎ声”によってその演奏を中断したが――との『二重奏』を――一角の快感と一緒に――楽しんだ。