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体育倉庫の狂宴~堕落する英語教師~
第2章 2
また、水着の内側に付けられているタグに記された名前から、水着の所有者も判明した。

芹沢奈津子の、競泳水着だ。

そしてメモには『涼子先生へ――この水着に着替えてから、中に入って来て下さい』と書かれている。

(私に、芹沢さんの水着を着ろってこと……?)

涼子は狼狽した。

(……そんなの、無理に決まってるわ……)

涼子は頭の中に、水泳部の活動で毎日のように目にしている、芹沢奈津子の水着姿を、思い描いた。

               ☆☆☆☆☆

奈津子は涼子が担任する1年B組の生徒であり、また涼子が顧問をしている水泳部の部員でもある。

肩の辺りで真っ直ぐに切り揃えているボブ・ヘアーは、黒い艶が美しい。

また前髪は、なだらかな半円の眉毛を隠すところで、やはり一直線に切り揃えている。

そんな髪型が小さな丸顔と、そこに収まる高校一年生よりもずっと幼い、ともすれば小学生の女の子のようにも見える顔立ちに、とてもよく似合っている。
 
少し眉間を広く取って並んだ、愛らしい二つの円らな目を見ると、涼子はいつも(涼子が最も好きな動物である)パンダを連想する。

そこに小さくて丸い鼻と、ふっくらとした唇が加わった顔立ちは、本人が少々不機嫌でつんと澄ましている時でさえも、涼子に愛嬌を感じさせる。

肌はどこを見ても張りがあって白く、それは“透き通る”というより“輝いている”という言葉のほうが、形容としては適切であるように涼子は思う。

また小柄な体つきは、十代の少女ならではの健康的な活力に溢れているが、実のところ奈津子は“細身”なのかもしれない。

それなのに”細身”の印象を涼子が持ち得ていないのは、奈津子のバストとヒップが、その子供のような顔立ちとは似つかわしくない成長を、成し遂げているからだ。

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