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妄想短編集
第1章 抱きしめてほしいだけ

「よろしいんですか」



『お願いできる?』


はい、とこの間と同じように手を広げてくれたので、同じように抱きしめる。体は枯渇していたのか満たされていくのが分かった。




「部長…」



『ん?』



「私は癒やされますが、癒やされてますか」




『あぁすごく…』 


その言葉に合わせて背中に回された腕がギュッと力が入った。


「ふふ…それなら良かったです」









『こっち向いて』



いつもより優しい声色の元をたどると部長がこちらを見ていた。にこっと笑って顔が近づいてくるのが分かった。




「あっ」




色んな感情が一瞬めぐって少し戸惑ってしまったが、部長の腕が私の体を固定させ逃げないようにさせた。




部長の唇と私の唇が重なった。



その瞬間自分の顔が赤くなるのが分かった。




「ぶ、部長…」




『顔真っ赤だね。』



部長は嬉しそうにそう言うとまた唇を重ねた。
今度は何度も細かくついばむように。




「だ、だめ…」




抱きしめられたままのキスは、愛の過剰摂取で私はオーバーヒート寸前だった。




『嫌だった?』




しょんぼりした顔で伺ってくる。




「そうではなくて…、し、仕事中でこんなことをしてたら体が持ちません」



そう答えると部長の顔が少しにやけたのが分かった。



『分かった。また続きは今度ゆっくりしようね』



と低い声が耳元で聞こえ、腰を抜かさないようにするのに必死だった。
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