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妄想短編集
第1章 抱きしめてほしいだけ


今日は珍しく残業していた。
部長も長い打合せがあって戻ってきたところだった、私もそろそろ帰ろうかと思っていたタイミングで、


『今大丈夫?』



「え?あぁはい」



『向こうで、いいかな?』



何の話だろう?と思いながら会議室に入った。



『ごめんね、残業してたのに。』



「いえ、そろそろ帰ろうと思ってたので大丈夫です。」



少し世間話をして、さて本題かなと思っていたら、



『ハグしてくれる?』



「仕方ないですね」


ふたりで笑いながら、いつもの流れのように抱き締めあった。会議室は窓が付いているが、今日は珍しくブラインドが降ろされ外からも見えない状態だった。



『はぁ…癒やされる』



「良かったです。私も元気が出ます」



ギュッと抱きしめながら少し揺れながら癒やしの時間を過ごす。



『こっち向いて』


この間と同じように促される。




『今日は定時過ぎてるからね』



と言って、ゆっくり唇を重ねた。体にピリピリと電流が走るかのような刺激を感じる。
その刺激を求めるようにキスをしていたが、部長が止めてにこっと笑った。


『口開けて』



それに応えるように口を開くと、部長の舌を入ってくるのが分かった。私は迎え入れるように自分の舌を絡みあわせ、深いキスを始めた。



どちらの唾液か分からない混ざりあった中でお互いの舌を吸い取ったり重ねあったり、絡み合う唾液の水音が会議室内に響いた。


「んっ…ふぅ」

息がしづらくなって声をあげると解放された。



「部長…キスうますぎます。」



『えぇ?そんなことないでしょ』

まんざらでもない顔で笑っていた。




『でも一生懸命ついてこようとしてるの、すごい可愛いかったよ』



「み、見ないでください」


こっちは必死に応えるように夢中だったのに、部長は自分のそういう姿を見れるくらいの余裕があったのかと思ったらなんだか恥ずかしくなって、部長の胸元に顔を埋めた。




『こっち見なさい』

と言われ、私の首元にキスをされた。


「ひゃ…」


「だめです…気持ちよくなっちゃいます」



『気持ちよくなっちゃうの?』


「部長のキスで気持ちよくなっちゃいます…」


すごく嬉しそうな顔をして、いっぱいしてあげると言ってまたキスが降り注がれた。
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