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マゾ女調教のなれの果て : こんな生き物にされたいですか?
第9章 謎

 「うらむ心当たりがあるんですか?」
 「あなたと話した女のことも、ひよりのことも。あるね。」

 「ああ、あるんですね」
 「たくさんあるよ」

 「たくさんですか」
 「舞台が好きだっつっても霞を喰ってるわけじゃない。金が絡めば恨みも増える。あれはあれで頑張ったんだろうけど、無い袖は振れないから」

 「恨んでいるのは演者だけじゃなさそうですね」
 「役者、スタッフ、出資者、機材屋、いくらでもいる。まあ、私のIDを教えたくらいだから、あなたと話したのが誰か、なんとなく予想はつくよ。」

 「やっぱり女ですか」
 「うん」

 「ひよりさんの脚本、自分のマゾを前面に出したらよかったんじゃないですか」
 「あれだけじゃだめだよ。全然足りない。芝居に役立つことはあっても芝居を作ることはできない。あなたは芝居を見たことあるの?」

 「芝居の音響を担当していたことがあります。」
 「音響はいいね、場を見渡せる。僕はもう演劇の一線からは退いている。そしてひよりは今は東京にはいない。僕の手を離れて、今は関西のほうにいる。神戸あたりのハプニングバーあたりに時々いるらしいから、興味があるなら行ってみたらどうだろう? 彼女はもう一生マゾとしてしか生きられないだろうから、今もどこかで誰かに飼われているんだろうね。」

 「あなたはひよりさんにどんな目にあったんです?」
 「恥をさらす気はないです。ただ、何人もの男にマゾを売り歩いた彼女は私の奴隷としてふさわしくない。表現者としての自分の未熟さを棚に上げ、現実から目を背け続けた彼女にはもはやマゾとしての人生しか残っていない。」

 「この前の女はひよりさんを売春婦のようにさげすんでましたが。」
 「そうだね、売春婦だね。売春婦とも言えないな。」
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