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マゾ女調教のなれの果て : こんな生き物にされたいですか?
第11章 雄二(ゆうじ)という男
私にはSMの弟分がいる。名前は雄二。SMバーに穴を一匹ひきずって行っていたぶっていたときに居合わせた客だ。私のいたぶりの意図を理解して、邪魔することや余計な口出しをすることなく、かつ、的確なサポートパスを出してきて私が気に入り、それ以来の付き合いである。
雄二は緊縛マニアだ。私は女を責めるのが好きなのだが、雄二は縛るのが好きなのだ。私の縛りは実用一点張りで、つまり、女が動けなくなればそれでいいという縛り。雄二の縛りはアーティスティックだ。細部にまで縄の美しさにこだわる。ときとして女の美しさへのこだわりの何倍も。縛られている女を見ている時間よりも縛っている縄を見てうっとりしている時間のほうがはるかに長いんじゃなかろうか。
雄二はこだわりが多い。たとえば、縛りの名前。縛りの代表格「亀甲縛り」。これは縛られた時の縄目が六角形になっているから亀甲という名前が付けられているのだが、この縛り方は面倒くさい。それで今広く使われているのはその簡易形の、六角形じゃなくて四角になる縛りだ。これも亀甲縛りと呼ばれる。雄二はそれが気に食わない。「菱縄縛り」と呼べ、というのが彼の主張である。
当然のこととして、縄にもこだわる。綿ロープは論外であり、麻縄以外には考えられないという。ただ、新品の麻縄にはケバ立ちがあるし、硬めである。雄二は新品の縄は炎で軽く炙ってケバを焼いたり鍋でグツグツ茹でたりしたあと、馬油を染み込ませて最初から滑らかでかつ柔らかくしておく。面倒くさい作業だと思うが、これが楽しいそうだ。私はケバ立っていた縄が女の汗や脂を吸って柔らかく滑らかになってゆくのが好きなのだが。
雄二は女体の解剖学的学習も欠かさない。縄で縛ったり吊ったりすると体のどこがどのように圧迫されるか研究している。医療従事者でもないのに会話の中に「橈骨神経」とかいう人体用語がごく自然に出てくるのである。
この雄二を助手として使って満月を縛らせることにして、どんな女かをおおよそ説明した。もちろんマン毛のことも。