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cape light
第3章 会いたい人とか会いたくない奴らとか
「ぶふぁはは。翔、元気じゃん。ぶふぉふぉふぉ」
 奴らは書籍・レコード売り場の前にいる。行きたくはないがそこは僕の担当している売り場だ。だからゆっくり歩く。
「何しに来たんだよ、帰れよ」
 僕は感情を剥き出しにして権藤と山名にそう言った(お願いしているのではない、僕は命令しているのだ)。
「おっと翔、それは客に対して使う言葉じゃないな」
 山名反撃。
「客だったらこれ買えよ」
 僕はカセットコーナーから一本のカセットを取った。
「何これ? ええと北島三郎ヒット曲全集? 北島三郎って誰よ?」
 山名は僕から受け取った未開封のカセットテープを見てそう言った。
「そのおっさんだよ」
 僕はカセットの表紙の北島三郎を指した。
「翔は北島三郎を聴いたことあんの?」
 と山名。
「ねぇよ」
「聴いたことがないアーテイストのカセットなんて客に勧めるなよ」
 権藤も山名が手にしているカセットを覗き込んでいる。演歌の歌手も今の時代はアーティストと呼ばれる。悪くない、ナイスな時代だ。
「売れねぇからお前らに売るんだよ」
 三か月くらい前に久須美がどこかで仕入れてきた商品なのだが、一向に売れる気配がない。
「売れないカセットを俺らに売りつけるんだな」
 山名から手渡されたカセットを手にして権藤がそう言った。
「でも名曲ぞろいだと福さんが言ってたな」
「福さんて、あの口やかましいばばぁ?」
 権藤ちょっと固まる。
「そうだけど」
「今いるの?」
 権藤がそう言って後ろを振り向いたとき。
「お前らサブちゃん知らないんだ」
 福さん登場。
「お久しぶりです」
 山名がそう言って福さんに頭を下げた。権藤も山名に倣う。
「三馬鹿トリオ」
 マリが福さんの後ろにいた。このガキは強敵だ。
「マリちゃんだよね、めっちゃ可愛いね」
「ロリコン」
 クソガキは山名にも遠慮しない。
「ははは、マリちゃんね、ロリコンは翔だから」
「坂口は熟女好きのロリコンだから」
 そう言ってクソガキマリは僕を睨んだ。
「そう言えば翔って若い女には全くもてないよな、いやいや違うわ、翔は若い女に興味がないんだよな、だろ?」
「だろ? じゃねぇよ。僕の心を揺さぶる女がいないだけだよ」
「いたじゃん、確か名前は……忍とかなんとか」
「おいやめろ!」
 山名が権藤を止めた。ナイスブロックだ。
 
 
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