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cape light
第3章 会いたい人とか会いたくない奴らとか
「あの、僕たちお茶飲んできます」
 山名がそう言った。
「そこに長岡の名水で作った麦茶があるから」
 福さんが事務所を指す。
「長岡の名水……?」
 権藤またしても固まる。
「メイドイン長岡の水を製造している長岡の水道局のこと」
「メイドイン長岡……水道局って。つまり水道水ですね」
「何か文句ある?」
 そう言ったのは福さんではなく孫のマリだ。
「メイドイン長岡、そっちにあるから」
 福さんが事務所の方に顔を向けて山名に教えた。だが怖いもの知らずの山名はめげない。
「ギンギンに冷えた麦茶も悪くないと思いまますが、今僕たちが望んでいるのはファーロのアイスコーヒーです。アイスカフェラテでも構いません。ファーロの店員さんも僕らみたいなシティーボーイを待っているはずです」
 待ってねぇよと僕は心の中で毒づいた。いやいや、その前にシティボーイっていつの時代の言葉だよ。
「ああ、あの店でアイスコーヒー飲んだら自動的にナンパ行為になるから注意してよ」
 と、福さんが言う。
「えっ?」
 そう声を漏らしたのは山名や権藤ではなく声僕だ。
「ナンパなんてとんでもないです。僕らはファーロのみなさんと交友を深めたいだけです。誤解しないでください」
 口だけは達者な山名。
「マリ、男の選択は大事だからね。男はね、大きく二つに分けられるんだ。女を幸せにする男。そして女を不幸にする男。だからマリ、この三人の男を見て勉強するんだ。学校では教えてくれないからね」
「ばあちゃん、この3馬鹿トリオから一人選べって言われたら誰を選ぶ?」
「……」
 3馬鹿トリオ……、腹は立ったが福さんの答えが気になる。
「地球を破壊する」
 福さん即答。
「えっ?」
 3馬鹿トリオの声がそろう。
「ばあちゃん、ウルトラマンじゃん」
 マリがそう言った。
「いや、ウルトラババウーマンかな」
 福さんが自分に付けられた名誉ある名前を自ら訂正した。
「ふふふ」
 福さんとマリが二人で笑っている。地球が破壊されたら僕たち3馬鹿トリオは生きてはいないだろう。そう言う世界を僕は見たくない。だから僕は戦いが大嫌いなのだ。
 ついでに言っておく、僕はガキが大嫌いだ。でもって福さんは苦手だ。おそらく……ではなく絶対に十年後にも同じことを言っている自信が僕にはある。

 
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