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cape light
第3章 会いたい人とか会いたくない奴らとか
「はぁ?」
 スキンヘッド、僕が予想した通りの反応を示す。これは拙い……。
「簔口将(しょう)だ」
 スキンヘッド、意外と素直な男だった。
「“しょう”はどう書くんですか?」
 いっちゃん、攻めの姿勢を崩さず。
「王将の将だ。わかるか坊主」
 スキンヘッド、自分も坊主なのにいっちゃんを坊主と呼ぶ。
「先輩も“しょう”なんですよ」
 いっちゃん、僕の個人情報を簡単にスキンヘッド将に教える。
「まさか同じ漢字じゃないよな?」
「先輩のしょうは部首が羽なんですよ。わかります? 翔と書いて“かける”と読むんです」
「あのしょう(翔)か、ふん、名前負けしてんな」
「ファーロさんが来たわよ」
 やばくなりそうな雰囲気を吹き飛ばしてくれるアイドル敏子。正に女神だ。
 僕といっちゃん、そしてスキンヘッド将が駐車場の入り口に顔を向ける。
 目をやると、ファーロの料理長と男の従業員二人が乗ったちょっとおしゃれな軽バンがlight houseの駐車場に入ってくるところだった。
「先輩、喧嘩とかダメですよ」
 軽バンを運転している人間を見て、いっちゃんは僕にそう注意した。
「おい、デカいの。お前誰と喧嘩するんだ?」
「僕は平和主義者です」
 国と個人はものすごく似ている。平和を願って生きていても、それをぶち壊そうとするやつらが結構近いところにいる。
 ファーロの料理長三富勇は、森川玲奈に何度か告白している(らしい)。玲奈はそれを受け流しているが、三富は玲奈を諦めない。つまりだ、僕は妙な奴に勝手にライバルにされてしまったのだ。まじで迷惑。
 light houseで働き始めて一週間経った頃だった。
「おたくさ、何しにここに来たの? 冒険と言ったってそれは遊びだろ? だったらさ、ここじゃなくてもいいんじゃない? 他にいくところあるんじゃないの?」
 身長182㎝の超イケメンシェフは身長189㎝の僕を見上げてそう言った。
 それ以来イケメン三富は僕を見るとこう言う。
「まだいるの?」
 それは彼の口癖ではない。彼は義務としてその言葉を僕にぶつけるのだ。
 河口の端にへばりついているlight houseになんか何の未練もないが、三富のその言葉で僕は意地悪になってしまった。三富の義務が一秒でも長く続くように、僕はしばらくここに居続ける(ていうか諸般の事情でいなければいけない)。
 
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