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cape light
第3章 会いたい人とか会いたくない奴らとか
 車から降りた三富の目は、迷うことなく僕に向かって来た。
「喧嘩すんじゃねえぞ」
 そう言った禿げ頭の将は笑っている。
「先輩、頼みますよ。今日花火なんだから」
「あのさ、ちょっとおかしくないかな。僕はね、一度たりとも彼に宣戦布告したことなんかないんだよ。なのにさ、どうして僕がそう何度も言われないといけないのかな」
「ふふふ、うちの将も一直さんも翔さんのことが心配なんですよ」
 禿げ頭のハニーは優しい。でもやはり敏子と言う名前は、アイドルには適切なものではない。
「俺は心配なんかしてねえ」
 禿げ頭は、禿げ頭だ。むかつく。
 すると、やつがやって来た。
「パテさん、今日はよろしくお願いします」
 三富が言った“パテ”とは簔口夫妻の屋台の名前“クレームパティシエール”を略した言い方のようだ。
「羨ましいよ、今日もファーロさんは完売だろ?」
 と、禿げ。
「多分」
 三富自信満々。僕は多分という言葉を石にして、三富にぶつけたかった(まじで)。
「一直、今日は焼きそば誰が作るんだ? 久須美さん? それとも福さん? まさかそいつじゃないよねな?」
 三富の言ったそいつ……。我慢しろ坂口翔。だから僕は強い意思を持って三富を無視した。
「秘密です。今日は焼きそばバカ売れします」
 何だかいっちゃん、めちゃくちゃ強気だ。その強気は一体どこからくるのだろうか。
「一直、そんなやつとつるんでるとろくなことにならないぞ。バイトだったらうちに来い」
 そんなやつとつるんでるとろくなことにならない。その通りだ。この点は三富の言っていることに間違いはない。
「大丈夫です。先輩と一緒にいると楽しいです。勉強になります」
 いっちゃんのその言葉に、目から心の汗というやつがこぼれそうになった。
「バカでかいだけだろ?」
 禿げ、腕組みをしてそう言いやがった。
「先輩はダンクできるんですよ」
「ダンクってバスケの?」
 アイドル敏子の驚いた顔もまた可愛い。
「一直、ダンクが出来ても居場所がここって寂しくないか? つまりそいつは何もできない男なんだよ。一直、考え直すなら今だぞ。じゃあまた後でな」
 悔しいが、イケメンシェフ、帰り際もカッコいい。
 何もできない男か……、三富は間違っていない。
 でも僕は落ち込まない……絶対に。
「先輩、来ました!」
 いっちゃん、何だかめっちゃ嬉しそうだ。
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