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暗い部屋の中の 水音
第4章 真奈美


2か月が過ぎ 真奈美は仕事を探し続け 
小さな会社の経理事務の
仕事が見つかり 働き始めた

「今日から働く 鈴木さんです」 
社長に紹介され頭を下げる

営業を担当する社員は5名居て 
責任者の佐藤を紹介されたが 暗い表情で
佐藤ですと言うと 直ぐに外回りに出かけてしまった 
その夜 歓迎会が行われ 20名の社員の中で紹介を受け 
真奈美の新しい生活が始まった

三か月が過ぎ 真奈美の生活も落ち着き始めて来た 
仕事も覚え 何時の間にか 周りから声を掛けられ 
時折 同僚と食事もするように成って来た
食事の席で 佐藤さん陰気ねと 同僚たちが話始める

あの人 余り笑わないし 仕事以外で話した事有る? 
皆を見回し 皆 首を振って 
その日は佐藤の話で 盛り上がっていた

真奈美はそのことを聞いた日から 
なるべく佐藤に 挨拶をし
朝のお茶の時は 笑顔で接するように 
心がけていた

ある日 営業が騒めいていた 
真奈美が顔を上げると 営業の社員達が 
佐藤の周りに集まり 顔を集めていた 佐藤は黙って
座り皆の話を聞くと 判ったと立ち上がり 
ボードに行き先を書き
何処かへ 出かけていた 

夕方戻ると 席に着き 他の社員を集め 
笑いながら 何か話していた 

真奈美の隣の女性社員が そんな佐藤を見て 

「佐藤さんでも 笑うんだ」 

皆の袖をひき 佐藤を見ていた事が有った 
その頃から 佐藤は会社の中で 笑顔を時折見せる様に
成って来た
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