この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
女優なんて…
第9章 村を出てゆく
昨夜…
村長夫妻のダブル不倫が見つかってしまい
酒を酌み交わし、女を抱き合った村長の態度が豹変した。
自分のしたことには正当な理由をつけ、
妻の不倫は許せないのだと彼は言った。
「こんなことになったのも
あんたらロケ隊が来たからだ!
平穏な暮らしを揺るがすようなロケ隊は今すぐ出ていってもらう!!」
高らかに宣言して、これでいいんだろ?と
妻の君枝の機嫌を取り成そうとした。
「それだけじゃイヤよ!
この女もよ、この役場に勤めている女も出ていかせないと!」
矛先は私に向けられた。
トカゲの尻尾切りだとわかっていた。
私とロケ隊が出ていけば丸く収まるんだわと
私はその場でメモ帳に辞表を書きしたためて村長夫人に投げつけた。
「村長…お世話になりました」
私はおもいっきり村長夫妻を睨み付けた。
こうしてロケ隊と私は村を後にすることになった。
「悪かったわ…」
自分が大白川監督の宿舎である村長宅に出向かなければ平穏にロケを撮り終える事もできたし
私が役場を辞めなくてもすんだのにと
申し訳なさそうに頭を垂れた。
「いいんです…
役場の仕事、私には向いていなかったし、
いつかはここを出ていこうと思っていましたから」
そう言って泣き出しそうになるのをグッとが我慢して、私は前を見据えた。