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女優なんて…
第9章 村を出てゆく
「付き人って…いったいどんなお仕事なんですか?」
車窓の風景は野山を抜けて少しずつ文化的な街の風景に変わりつつあった。
「付き人は私の身の回りの世話をするのが仕事よ」
「それならばマネージャーの樹(いつき)さんがいるじゃないですか」
私の言葉を受けてハンドルを握る樹(いつき)が
「マネージャーの私は、対外交渉やスケジュール管理。それに涼風さんをテレビ局や製作会社などに売り込むのが本来の仕事なんです」
今回のように地方ロケに帯同してお世話させていただくのは、あくまでも付き人のお仕事なんですよ。
と、樹(いつき)は親切に教えてくれた。
「樹(いつき)は男色(ホモ)だと信じて、
今までいろいろとお世話をしてもらったけど、
今回で立派に男として女も抱ける事を知ったからには身の回りの世話は遠慮していただくことにしたの」
そこで…
あらたに私のお世話をしていただく女性が必要になったのよ
そう言って涼風さんは私の手を優しく握った。
「言っておくけど、付き人は事務所が雇用するんじゃなくて、あくまでも私個人が雇用するから
お給料はそんなに多くは払えないけど…
それでも構わないと思ってもらえるのなら私の付き人になって欲しいのよ」
涼風さんの私を見つめる目は
拒むことを許さないとばかりに
凛とした眼差しで居抜いてきました。